紅茶を飲み終わり、4人はJ尼家のリビングで話している。
J尼「ニッポンニ、伝説カラ生マレタ、レジャー、アリマス」
みんなは興味を持った。
B美「何?」
J尼「悪人デスガ、愛サレマシタ。
ソノ人ノポエムモ、変ナ内容デスガ、有名デス。
ニッポンデ大人気ナレジャーノ一ツニ、名前ヲ残シテイマス。
デスガ、ソノレジャーノ中デハ、マイナーデス。
ニッポン人デモ、本物ヲ体験シタ人ハ、イナイデショウ。
本物ヲレジャー化シタモノサエ、体験シタ人ハ、少ナイハズデス。
イワバ伝説カラ生マレタ、レジャーナノデス。
ワタシモ、ゼヒ、レジャートシテハ体験シタイノデスガ、デモ、本物ハ、体験シタクナイノデス」
F吉「日本で大人気のレジャーって・・・本物でなければ、ここで体験できるの?」
J尼「ハイ。マイナーナ方ハ無理デスガ、メジャーナ方デシタラ」
D菜「じゃあ今、私たちに体験させてよ」
J尼「最初カラ、ソノツモリ、デース!」
J尼は笑顔でウィンクした。
J尼「コノレジャー、何カ、ワカリマスカ?」
※諸注意はコメント欄
F吉はB美に尋ねた。
F吉「『悪人デスガ、愛サレマシタ。』って、『義賊』って事かな?」
B美はうなずいた。
B美「F吉にしては冴えてるわね。素直に考えれば、そうなるかな」
F吉「わかったよ。『ルパン3世』だ!」
D菜「じゃあ、『レジャー』は?」
F吉「日本のレジャーと言えば、『パチンコ』でしょう。こないだ休講の時にパチンコ屋に行ったんだ。『ルパン3世』の台もあったけど、『エヴァンゲリヲン』の方が台数多かったよ。『ソノレジャーノ中デハ、マイナー』」
B美「『ポエム』は?」
F吉は詰まった。
B美「『カリオストロの城』でのセリフかしらね」
B美は暗唱した。
B美「ああなんということだ
その女の子は悪い魔法使いの力を信じるのに
泥棒の力を信じようとはしなかった」
F吉「それだ!」
B美は即座に言った。
B美「違うわよ。でも、『ルパン3世』は、当たらずと言えども遠からず、かも。ルパンの相棒といえば?」
D菜「次元と……五右衛門?」
B美「十三代目石川五右衛門ね。初代の石川五右衛門にちなんだ、『五右衛門風呂』が正解」
J尼は微笑んだ。
B美「石川五右衛門が義賊なのは言うまでもないわね。ポエムってのは、辞世の句の『石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ』の事」
D菜「J尼の言っている『レジャー』って、お風呂なの? でも、お風呂を『レジャー』って言う?」
J尼「ニホンゴ、ムズカシイデース」
B美は笑いながら続けた。
B美「『五右衛門風呂』はお風呂の中でもマイナーな部類よね。J尼の言う『本物』は『釜ゆで』の事だと思うわ。だから『レジャートシテハ体験シタイノデスガ、デモ、本物ハ、体験シタクナイ』になるわけ」
D菜「すると、これから体験できる『メジャーナ方』ってのは……」
J尼「ウチノオフロニハ、ジャグジーアリマス。ミナサン、タイケンシテイッテクダサイ」
F吉の目が輝いた。
F吉「ま、まさか、混浴?」
その後の展開は、読者諸賢のご想像の通りだった。
F吉はB美に尋ねた。
F吉「『悪人デスガ、愛サレマシタ。』って、『義賊』って事かな?」
B美はうなずいた。
B美「F吉にしては冴えてるわね。素直に考えれば、そうなるかな」
F吉「わかったよ。『ルパン3世』だ!」
D菜「じゃあ、『レジャー』は?」
F吉「日本のレジャーと言えば、『パチンコ』でしょう。こないだ休講の時にパチンコ屋に行ったんだ。『ルパン3世』の台もあったけど、『エヴァンゲリヲン』の方が台数多かったよ。『ソノレジャーノ中デハ、マイナー』」
B美「『ポエム』は?」
F吉は詰まった。
B美「『カリオストロの城』でのセリフかしらね」
B美は暗唱した。
B美「ああなんということだ
その女の子は悪い魔法使いの力を信じるのに
泥棒の力を信じようとはしなかった」
F吉「それだ!」
B美は即座に言った。
B美「違うわよ。でも、『ルパン3世』は、当たらずと言えども遠からず、かも。ルパンの相棒といえば?」
D菜「次元と……五右衛門?」
B美「十三代目石川五右衛門ね。初代の石川五右衛門にちなんだ、『五右衛門風呂』が正解」
J尼は微笑んだ。
B美「石川五右衛門が義賊なのは言うまでもないわね。ポエムってのは、辞世の句の『石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ』の事」
D菜「J尼の言っている『レジャー』って、お風呂なの? でも、お風呂を『レジャー』って言う?」
J尼「ニホンゴ、ムズカシイデース」
B美は笑いながら続けた。
B美「『五右衛門風呂』はお風呂の中でもマイナーな部類よね。J尼の言う『本物』は『釜ゆで』の事だと思うわ。だから『レジャートシテハ体験シタイノデスガ、デモ、本物ハ、体験シタクナイ』になるわけ」
D菜「すると、これから体験できる『メジャーナ方』ってのは……」
J尼「ウチノオフロニハ、ジャグジーアリマス。ミナサン、タイケンシテイッテクダサイ」
F吉の目が輝いた。
F吉「ま、まさか、混浴?」
その後の展開は、読者諸賢のご想像の通りだった。
meefla様
ご回答ありがとうございます。
正解をすっきりわかりやすく説明していることと、自分には思いつけなかったF吉のボケを示してくれたこと(ルパンという発想も自分にはまったくなかったでした)、こちらの解答編にも出てくる「混浴」を拾っていただいたことを評価し、今回はmeefla様にベストアンサーを差し上げたいと思います。
ベストアンサー、ありがとうございます。
ポイントも確かに受領いたしました。
×ルパン3世
○ルパン三世
でしたね。
私とした事がorz
次回はこのような誤記がないように精進したいと思います。
――――この場にF吉が居るということ。ロケーションがJ尼宅であるということに重大なる違和感を感じつつ、それでも書き始めたいと思う。
F吉「わかった! 女体盛りだろう! 女体盛りなら、どっかの悪人が始めたことだろうし……」
ゴン!(D菜にどつかれるF吉)
D菜「へへ~。たぶん私、わかっちゃった。それは、ずばり五右衛門風呂でしょう?
石川五右衛門は悪人だし有名だし、13代目の子孫がアニメで大活躍するほど愛されているしポエムって辞世の句よね。
でね、本来の五右衛門風呂って釜茹というか処刑だから、体験した人なんていないはず。メジャーなレジャーって露天風呂よね。それなら多くの人が体験してるわ。でも、たしかに五右衛門風呂とかドラム缶風呂に入ったことのある人は少ないと思うし」
F吉「そっかあ。それなら、本物、すなわち釜茹では体験したくないっていうJ尼の言い分にも筋がとおるね! ってあれ、今からここで体験するってことは……」
以下、F吉の脳内の描写
湯煙……タオル姿の美女3人。狭いドラム缶の中でひしめきあっている。
必死で火を起こし、湯加減を調整するF吉。
ほわほわほわわ~ん。(現実回帰の音)
B美「なるほど、五右衛門風呂ってのはすごく着眼点がいいと思うわ。でもね、それならJ尼のこの家で体験できるとは言わないでしょ」
J尼「はい、そうでーす」
D菜「じゃあ、答えはいったいなんなの?」
B美「そ、それは……」
五右衛門風呂であっているような気もしないでもないのですが、
その後の展開がうまく思い描けず、中途半端な回答になりました。
五右衛門風呂なら、展開としては、F吉が追い返されて、女子3人がお風呂に入るって感じでしょうか? J尼の家に露天風呂があるのか? というところでまた行き詰まります。。。
grankoyama様
いつもご回答ありがとうございます。
正解を明快に書いてますし、F吉の天丼ギャグやD菜のボケ回答、脳内描写もあり、とても楽しめました。J尼の家にあるのは露天風呂ではなく、普通の風呂でOKなのですが、これはこちらの問題もしっかり詰めていなかったせいです。すみません・・・。ここを臆せず「風呂」で書いていただければ、ベストアンサー候補でした。
D菜「あいかわらず難しいわね。愛された悪人か。誰のことだろ」
F吉「おれ、分かったかも」
J尼「エ?!」
B美「え?!」
D菜「え~?!」
F吉「何でそんな意外な顔するんだよ。おれだってやるときはやるさ」
D菜「はいはい。で、答えは何?」
F吉「ずばり「天空の城ラピュタ」のムスカ大佐さ」
D菜「は~?何でそうなるの」
F吉「悪人だけど、ファンからは熱烈に愛されてるし、「目が、目が~」とか「見ろぉ!人がゴミのようだ」て有名な科白もある。」
D菜「確かにそうかもしれないけど、レジャーとは何の関係も無いじゃない。」
F吉「知らないの?ラピュタがテレビ放映されるときは、多くの日本人が「バルス」と書き込むんだ。」
F吉「twitterで一度に書き込まれたことで世界一になったこともあるんだ。これも立派なレジャーだよ。」
D菜「ムスカの名前の入ったレジャーなんてないじゃない。」
F吉「眩しいものを見て目が~ってやるムスカごっこがあるじゃないか。バルスごっこほとメジャーじゃないけど。それにラピュタは伝説だろ。これからラピュタのDVDを見るんだよね。J尼?」
D菜「何となく納得させられそう・・J尼どうなの?」
J尼「残念ナガラ外レデース。確カニ、実際ニ体験シタ人ハ、イナイト思イマスシ、人気モアリマスガ、大人気ナレジャートマデハイエマセーン。ソレニムスカゴッコナラ、ココデヤルノハ無理デハアリマセーン。」
D菜「やっぱりね~。」
F吉「くそ~いいとこいったと思ったのに。」
F吉「あ、また思いついた。」
D菜「今度は誰。」
F吉「ずばりルパン三世さ。」
F吉「愛すべき悪党だし「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」って名科白を・・」
D菜「それを言ったのは銭形警部でしょ。いい加減ジブリから離れなさい。」
F吉「しゅん・・・・」
B美「落ち込まないの。F吉のおかげで答えが分かったわ。」
F吉「え!ルパンで合ってるの」
B美「それは違うわ。レジャーというのはずばり「お風呂」のことよ」
D菜「え~お風呂~。」
B美「ひとつひとつ説明していくわね。」
B美「愛されていた悪人とは「石川五右衛門」のこと。」
D菜「あ、ルパン三世から・・。」
B美「そうよ。彼が思い浮かんでからはスラスラ解けたわ。」
B美「石川五右衛門。めんどくさいからこの後は「彼」って言うわね。」
D菜「うん。」
B美「彼は義賊で庶民から愛されていた。「絶景かな絶景かな・・」とか「・・世に盗人の 種は尽きまじ」とか有名な科白を残しているわ」
F吉「うんうん。」
B美「五右衛門風呂って名前は残っているけど、それ自体はほとんど見ることがないからマイナーだし、実際に体験した人はあまりいないはずよ。」
B美「本物は釜ゆでだから、もちろん体験なんてしたく無いわね。」
F吉「五右衛門風呂か~。確かに。」
D菜「なるほど~。でも何で彼から生まれたレジャーなの?お風呂ってもっと昔からあったんじゃない?」
B美「昔のお風呂は蒸し風呂だったの。今みたいに湯船に湯を張るようになったのは、はっきりとは分からないけど、江戸時代と言われているの。」
B美「釜ゆでにされたのが豊臣秀吉の時代。その後の江戸時代から始まったということで、彼の伝説から始まったレジャーと表現したんだと思うわ。」
J尼「B美サン。マタマタ正解デース。」
J尼「ミナサンノタメニオ風呂モワカシテマス。」
J尼「今日ハワタシノウチニ泊マッテモラウツモリデシタ。タクサンオ話シシマショウ。」
J尼「枕投ゲモシタイデス。今晩ハ枕ヲ揃エテ討チ死二デース。」
B美「それはちょっと違うわ。」
終わり
takanoha様、いつも回答ありがとうございます。
以前、ただ一人の正解者であったことは、いまだに印象深いです。
またF吉のボケ回答も楽しいです。
D菜「それを言ったのは銭形警部でしょ。いい加減ジブリから離れなさい。」
の突っ込みとか、F吉が口で「しゅん・・・・」としょげるのも楽しかったです。
B美「レジャーというのはずばり「お風呂」のことよ」
というのも、素晴らしい解答でした。
今回はベストアンサー候補が多すぎで悩みましたが、混浴を出してきたmeefla様、それに近いgrankoyama様に、
わずかに思い入れがありますので、ポイントでお礼させていただきます。
「湯屋」
「すごいんだよ、温泉だよ」
湯屋の前で、呼び込む声が聞こえてくる。日が西に傾き、暮れ六つも近い。
「よう、温泉ってなんだい」
尻っぱしょりの棒ふりが、湯屋の前の娘に声をかけている、
「いやだよ、温泉知らないのかい、入っていきなよ。」
「普通の湯じゃないのかい」
娘は胸を張って、若者ではなく、通りに向かって言う。
「伊豆の国は熱海の海岸から、えっちらおっちら運んできた、温泉だよ。昨日取ってきて、将軍様に献上した残り湯だよ。」
若者は大声で応える。
「そらすげぇや。将軍様とおんなじなのかい」
娘は誇らしげに、
「そうだよ、将軍様がお使いの湯とおんなじ湯に入れるんだ、今日を逃すともう入れないよ。」
「そいつはてぇへんだ、はいらねぇと。」
若者が、担いでいた棒と桶をほおり、湯屋へ消える。すでに人だかりになっていた通りから、湯屋の入口に人々が殺到する。
娘が大声を上げる。
「はいはい、並んで並んで、あわてないあわてない。温泉はすぐにはなくならないよ。温泉だよ。腰に効くよ。腹にも効くよ。」
若者は、湯屋の二階に座っている。娘が茶を持って行く。
「なあ、お藤。ほんとに入ってるのかい、温泉」
若者は、下を指差して言う。お藤は小声で答える。
「いやだよ、入ってるって。」
「ほんとか」
「手桶一杯だけどね。」
と舌を出す。
「それでも、箱根へ湯治に行くのに比べれば、入れるだけ御の字って所なんじゃねぇのかねぇ」
お藤と若者は、後ろから声が掛かって首をすくめる。振り向くと、いかつい男が座っている。
「お、親分さん」「すみません、これは、おっとうが」
ひれ伏す二人に、親分と呼ばれた男はやさしく声をかける。
「いやいや、咎めてねぇ。お二人さん、頭を上げてくれ」
おそるおそる頭を上げた二人は、柔和な顔を眺めていた。
「箱根なんて、一生かかったって行けねえのが、そのへんの奴よ。なあ。半月何にもしねぇで出かけるなんざ、できっこねぇやな。熱海の温泉気分が手 にへえるんだから、贅沢言っちゃいけねぇなぁ。温泉がかけらでも入ってれば、そりゃ嘘はねえわな。」
「親分さん、すんません」
その時だった。湯屋の裏手で派手な「ガランガラン」という音が聞こえてきた。
親分は、十手を掴むと、階段を駆け下りていた。若者が続く。
湯屋の裏手には、たきぎや湯桶やらが積んである。その脇に、大きな鉄の鍋の様な物が転がっていた。その脇に、細い人影が立っている。日も暮れよう という黄昏時。その人影は、夕闇に溶け込み、今にも消えそうである。親分は、人影と対峙した。左手に十手を構え、右手を腰の後ろに回す。ただならぬ気配に、駆け下りてきた若者とお藤は、湯屋の建物に張り付いて動けない。
人影の右手がゆっくりと上がる。その先には、長物が握られている。人影が踏み出そうとした瞬間、親分の右手が動いた。と、同時に、人影の右手が、 夕闇の中で一閃する。刹那に足元で音がする。
チャリーン。
落ちかけた夕日が、親分の足元を照らす。そこには、真っ二つになった寛永通宝が転がっていた。
「お前は、誰だ」
親分の問いに、人影は間合いを詰めてくる。下げられた切っ先が、一瞬上がる。
脇に転がっていた鍋の様な物が半分になる。
「あ、風呂釜が」
お藤が近づこうとするが、若者が止める。
「そうよ、この風呂釜が憎いのさ。この世から葬ってやるわ。」
若者が、お藤に聞く。
「なんだよあれ。あんな風呂釜みたことねぇ」
「あれは、五右衛門風呂なの。上方の風呂なんだけど、おっとうがもらってきたんだけど、誰も入らなくて」
「なんだよ、五右衛門風呂って」
十手を構えながら、親分が語る。
「大阪の豊臣のお城に忍び込んだ盗賊がいた。そいつが五右衛門だ。上方の偉い人からいろいろ盗んだそうだ。」
「あの、歌舞伎の五右衛門ね。絶景かな絶景かなって。」
お藤に頷く親分。
「そいつは、豊臣の城でつかまって、死罪になった。釜茹でだ。」
「うへぇ」
「そのゆでた時と同じ炊き方の風呂が、五右衛門風呂だ。」
「その釜に水を張って、下から火を炊くの。すのこを入れて入るの」
「趣味わりぃなぁ、上方の人は。釜茹での風呂かい。やだやだ」
十手を右手に持ち替えて、親分は語りかける。
「五右衛門風呂を憎み、鉄釜を割る太刀、投げ銭を弾く使い手。お前、伝え聞いたことがある。伊賀者か?」
人影はジリッと間合いを詰めてくる。急速にやってきた闇に、人影が溶けたと思った瞬間、十手が宙を舞った。地面に倒れて、太刀を逃れた親分の上空 から、お藤に人影が躍る。闇の中、轟音が響いた。
呆然と立ち尽くす着流しの素浪人の足元に、太刀が転がっていた。若者の袖から、ゆっくりと煙が上がる。親分が若者に問う。
「貴様、何者だ」
袖から少し出ている短筒の先から立ち上る細い煙を、ふっと流して若者はお藤に言う。
「源大輔と申す。短筒の流派、三星流の範士を務めております。この太刀を追っておりました。」
足元の刀を手に取り、お藤が言う。
「あら、この刀って、高いの」
立ち上がった親分が、縄を手に素浪人に近づく。浪人の肩に手を掛けながら、お藤に言う。
「それは、世にいう斬鉄剣だ。鉄を切り鋼を割る。将軍様の持っている宝剣よりも価値がある」
ふううん、と上の空で聞くお藤。と、堀端から姿が消える。駆け寄る親分と大輔。二人の鼻先から、猪牙船が下っていく。
「じゃあねぇ、銭形の親分さん。これもらっていくわね。悪いわねぇ。悪くないけど。」
お藤と叫ぶ大輔を抑え、銭形は浪人の縄を解く。
「お主、名は何と言う」
「石川でござる」
「じゃあ、五右衛門だな。いっしょにこいや」
銭形平次は、右手を顔にかけると、一気に引きはがした。そこには、似ても似つかない短髪の男が立っていた。
「なあ、石川の。それから、そっちの大輔さんも。あれ、とりもどそうぜ」
「お前、何者」
その時、通りから呼子の鳴る音が聞こえてきた。
「おや、本物の銭形のとっつぁんだ。こうしちゃいられねぇ、一緒に逃げるぜ。こっちだ。」
橋の下に舫ってある小舟に飛び乗り、流れに乗せる。飛び降りる二人を受け止め、お藤の行った方へ進める。
「なんだか、これからずううっと、こんな生活するんじゃねぇかなって、予感がするんだが。」
大輔の呟きに、長いもみあげの男が振り向く。
「これも、運命さ。行こうぜ」
-----------------------------------------
すみません。すみません。回答ではなくて、怪盗になってしまいました。長いので飽きてしまったでしょう。すみません。
お題「温泉」「五右衛門風呂」「南禅寺山門の場」の三題話です。
takejin様、いつも力作、ありがとうございます。
ベストアンサーはいちばん上に来るため、正解をシンプルに示した人に与えないと、後から読む人が混乱してしまうので、ベストアンサーからは外しましたが、小説としての鮮やかさは一番だと思います。ルパンも一工夫してからネタに盛り込もう、という姿勢も素晴らしいです。ポイントでお礼させていただきます。
いつもながら、回答の体裁をとっていない違反回答ですので、BAはいただけなくて当然です。すみません、ポイントいただきました。ありがとうございました。
次元の名前で悩んで、大半の時間を費やしました。アホです。
三星流範士源大輔(さんせい りゅう はん し げん だいすけ)と読めるんだよ。ま、リュウハンって誰って話ですが。
……分かんねぇよ。レジャー?日本で大人気の?
くそっ、B美とD菜は分かったって顔してやがる。
何だ……と顔をしかめる俺に向かって、J尼が笑う。
「ワタシ、考エガアリマース。F吉サンヲ主役ニシヨート思ッテマスノデ、F吉サンハワカラナイ方ガ、イイカモシレマセンネー」
何だよそれ、褒めてるのか、けなしてるのか。の事だし、前者だと思っておこう。
「今カラ、ソノレジャー、ヤリマス。デモソノタメニハ、水着ニ着替エテイタダカナイト」
俺はここに来て、今日J尼家に来るのに、水着を持ってくるように言われたのを思い出した。
「そうか、水着にならなきゃいけないのか」
J尼の庭は欧米のそれとほとんど変わらないだろう。広くてプールもある。
レジャーというのは、そのプールに関係あるのか。何だ?ますます伝説というのが分からなくなってきた。
ん?おいB美、D菜。何だその顔は。
「F吉サン、アチラノ部屋ニ移動シテクダサイ……」
そうだった、女子3人の目の前、ここで着替えるわけにはいかない。
俺はそそくさと部屋を移り、水着に着替えた。
お、突然ケータイが鳴り出した。J尼から?
「F吉サン、着替エ終ワリマシタカー?庭マデキテクダサーイ」
何だよ、わざわざケータイで呼ぶこともねーだろ、と思いつつ庭に向かう。
だが、おかしいぞ。J尼どころかB美もD菜も水着になってない。
「おい、お前ら何で」
「水着を持ってきてなんて、聞いてなかったわよ」
「F吉サンダケ水着ニナッテクレレバ良インデス。コレ見テクダサーイ」
そう、もうひとつ、おかしい物。ドラム缶がドカンと置いてある。
「コレ、Hot Water 入ッテマース」
「これってもしかして……」
J尼の言葉が頭をよぎる。「悪人デスガ、愛サレマシタ」、そいつの名前が入った……
「「五右衛門風呂よ」」
B美とD菜が計ったように口を揃えて言った。
「俺が入るの?」
「モチロンデース!」
ぎゃああああ
「J尼がレジャーとして体験したいって言った時はおどろいたけど、なるほどそういう事ね」
そう言ったD菜は、珍しく邪悪な笑みを浮かべている。
「ホントホント。ま、J尼らしいと言えばらしいけどね」
振り向くとB美がいつの間にか梯子を持ってきていた。こいつの邪悪な笑みは珍しくもない。
梯子がドラム缶に掛けられた。
「登ればいいんだろ」
そう言って俺は、梯子を一段一段登って熱湯に向かう。が、入る直前で足がすくむ。
振りかえると、どアップのJ尼の顔があった。
「うおっ、やめろよJ尼!」
「F吉サン、入ラナインデスカー?」
「押すなよ、絶対に押すなよ!!」
そう言ったのは本心だった。直後、『その言葉の意味』を思い出す。だが遅かった。
ドン!
バッシャーン!
熱湯が飛び散る。ドラム缶に頭がぶつかる。
「いてっ、あ、熱っちいいぃぃーーーーJ尼おまえやmくぁwせdrftgyふじこlp」
「J尼!」
B美の声だ。J尼が梯子からずり落ちたらしい。J尼の心配も良いけど俺の心配はしないのか。
「ダイジョーブデス、着替エハイクラデモアリマスカラ」
「そうじゃなくて私の服よ!弁償してくれない!?」
「Oh」
おいおい自分の心配かよ。
「そう言えば」
D菜が声をかける。
「ポエムって何なの?変な内容だけど有名だっていう」
「ああ、そうだよ。それがまだ分からない」
「それはね……」
「マタ、ツマラン物ヲ着テシマッタ」
「『斬ってしまった』、ね」
「ああ、ルパン三世の」
「なるほど……って、俺をここから出せー!」
yam3104様、ぎりぎりまでの推敲、お疲れ様でした。
今回は「ドラム缶風呂」も解答編に盛り込もうか悩み、結局は捨てたのですが、「五右衛門風呂」の後継にあたる「ドラム缶風呂」を、唯一、取り上げてくれたのはたいへんうれしかったです。
meefla様
2012/06/18 22:00:23ご回答ありがとうございます。
正解をすっきりわかりやすく説明していることと、自分には思いつけなかったF吉のボケを示してくれたこと(ルパンという発想も自分にはまったくなかったでした)、こちらの解答編にも出てくる「混浴」を拾っていただいたことを評価し、今回はmeefla様にベストアンサーを差し上げたいと思います。
ベストアンサー、ありがとうございます。
2012/06/18 23:20:29ポイントも確かに受領いたしました。
×ルパン3世
○ルパン三世
でしたね。
私とした事がorz
次回はこのような誤記がないように精進したいと思います。