「知る楽~稲村和夫リーダーの条件」という番組を見ました。
番組自身は経営理念の話が中心だったのですが、
番組中に
「理念を曲げないと会社が持たないような時はどうするのですか?」という問いに、
「つぶれるんです。理念を曲げてまで生きてても仕方がないでしょう」とばっさりでした。
後日、友人とこの話をしていた時に、
稲村氏はこの質問自体が本来無意味であることを見抜いていたのでああいう回答をしたと言っていました。
いっけん賢そうな質問ですが、実は無意味な質問であるとも言っていました。
そこで教えてください。
この質問が無意味であるというのは何処にあるのでしょうか?
「理念を曲げないと会社が持たないような時」という条件設定は、選択肢が「理念をまげて生き残る」しかありません。
つまり、生き残るためには理念を曲げるしかないという前提で、経営者に「どうする?」と選択させているわけです。
そんな質問、経営者としての判断もクソも無いでしょう。選択肢がひとつしかないなら、どんなに優秀な経営者でも無能な経営者でも、それを選ぶしかありません。
優秀な経営者は、選択肢が無い状態にならないようにたくさんの選択肢を持って立ち回れる経営者であって、選択肢が他に無いような状況になることはありません。追い込まれ、おいつめられて、やむを得ずそうするしかないというような判断ばかりやっている経営者は無能です。
「理念を曲げないと会社が持たないような時」に立ち会わなければならないような状況は、すでに経営が失敗しているということです。
だから番組に出た経営者は、「理念を曲げないと会社が持たないような時」という条件の質問に「経営者をやめる」と答えたのではないでしょうか。